「甲子園中止」で選手にかける言葉がみつからない

甲子園も中止という決断がなされ、高校球児のことを考えると、かける言葉が見つかりません。

「この経験を活かして、前を向こう」

「社会に出ると、理不尽なことはたくさんあるぞ」

「決まったことは仕方ない。切り替えよう」

大人の目線でそう伝えることもできるのですが、
立場と状況によっては、正論はときに鋭利な武器にもなり、子どもたちの心を大きく削ります。

いまはただただ、一緒に彼らの側にいて、
悲しみや怒りなどすべてを含めた本音を話せるような環境をつくることが、唯一できることなのかもと考えると、自身の無力さも感じます。

 

一方で、真夏の炎天下の中での開催や、選手の肩や肘の怪我への考慮などを考えると、今後の大会のあり方を考える機会になるのでは、とすこし期待をしている自分もいます。

「甲子園は、本当に高校球児を幸せにしているのか?」

「僕たち大人は甲子園を消費していないか?」

「甲子園に行きたいんだろう?という言葉だけで、やる気にさせていないか?」

 

高校野球強豪校で学んでいた僕としては、隣に座る友人が目指す唯一無二の大会として、甲子園には特別な想いもありますし、熱闘甲子園では選手たちのひたむきさに勇気をもらい、涙を流すことも少なくありません。けれど、それと同時に、彼らを消費しようとしている自分にも気づかされます。

 

また、僕自身もU14アイスホッケー日本代表の選手たちに関わらせて頂く中で「これだけは言ってはいけない」と感じている言葉があります。

「日本代表選手になりたいんだろ?」

日本代表になりたいのだったら、集中してトレーニングしなさい。私生活にも意識を向けなさい。このロジックは明快です。

でも、その言葉だけでモチベーションを上げるのはとても危険で、もしそう言われて頑張ってきた子達は、代表になれなかったら、心が折れてしまうかもしれません。その競技自体が嫌になることも考えられます。あまりにも代償が大きいので、言ってはいけない言葉だと感じています。

先日のfacebookの投稿をもとにサカイクさんに記事にしていただきました。 僕自身も「こうするべきだ」と提言する根拠も勇気もなく、ただただ感じていることを綴っているのですが、対話や議論のきっかけになったら嬉しいです。

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